が、豪傑自身の着物も、
余程長い間着てゐると見えて、襟垢がべつとり食附いてゐる。
彼はいまだにそれを繰返しては、チェッと舌を打っているところを見ると、
余程忘れられないものらしい。
黒八の襟がだらしなくはだけて、紺献上の帯がほどけたなり、だらりと後へぶら下がっているのを見ても、
余程、酔っているらしい。
一体どこへお出でになる御心算か知りませんが、この船がゾイリアの港へ寄港するのは、
余程前からの慣例ですぜ。
兎に角
余程親父には気に入らないと見えて、とかく親父の日にお灸を据ゑられる。
が、
余程以前から、同じやうな色の褪めた水干に、同じやうな萎々した烏帽子をかけて、同じやうな役目を、飽きずに、毎日、繰返してゐる事だけは、確である。
武「いや心配してはいかん、却って是が宜しい成程是は何うも
余程好い酒を飲むな」