たとへば石定などは釣が非常に好きで
能く片舟忘機の楽を取つたものだが、船頭等にさへ其の物やさしい、察しのよい呼吸が如何にも穏かなのをなつかしがられた程であつた。
勇猛にして無欲清浄にして器量大、廉直にして隠すところなく、明敏にして
能く察し、慈恵にして下を育す、好みて忠諫を容るる等、その善き所なり」と云った。
むらがる蝶は狂っているのか戦っているのか
能く判らなかったが、ともかくも入りみだれて追いつ追われつ、あるいは高く、あるいは低く、もつれ合って飛んでいる。
粗心浮気、筆をも択まず道具をも詮議せざるほどの事にて、
能く何をか為し得ん。
「
能く其の戸が脱れましたよ、私しも開け度いと思い、推して見ましたけれど女の力には合いませんでしたが」
三輛の馬車は相隔つる一町ばかり、余の馬車は殿に居たので前に進む馬車の一高一低、凸凹多き道を走つて行く様が
能く見える。
喜「宜いから黙ってろ、殿様此女の里は白銀町の白旗稲荷の神主の娘ですが、何うしたんだか、亭主思いで、私が酒を飲んでは世話を焼かせますが、
能く面倒を見ます」
ああ、左様々々、まだ其頃のことで
能く記臆して居ることがあります。