殊に、昨日、町の時計屋が来た際にも、銀
側の懐中時計が二個、紛失したと云ふ事であるから、今日はこれから、総員の身体検査を行ひ、同時に所持品の検査も行ふ事にする。
しかし僕等が席についてまだ五分とたたないうちに外国人が五六人ちょうど僕等の正面に当る向う
側のボックスへはいって来た。
——塗りの剥げた窓
側の壁には、色の変った畳の上に更紗の窓掛けが垂れ下っている。
少女は自働車のまん中にある真鍮の柱につかまったまま、両
側の席を見まわした。
ただその
側の杉の根がたに、縄が一筋落ちて居りました。
するとその襖
側のうす暗がりには、私の全く見知らない四十恰好の男が一人、端然として坐っていた。
広い縁
側の長椅子の上に長々と横になつてゐる人間たちを眺めやつた。
しかし汽車が今将に隧道の口へさしかからうとしてゐる事は、暮色の中に枯草ばかり明い両
側の山腹が、間近く窓
側に迫つて来たのでも、すぐに合点の行く事であつた。
その上やはり南
側の窓際に置いた机の上にも、軸だの法帖だの画集だのが雑然と堆く盛り上つてゐる。
荒廃と寂寞——どうしても元始的な、人をひざまずかせなければやまないような強い力がこの両
側の山と、その間にはさまれた谷との上に動いているような気がする。