この朝の桜花の樹のもと
小心の与作ものつと歩み出でたり
女同士の
小心さや不愉快など経験して、此頃は男の偉さといふものに対して尊敬する気持ちになつて居ります。
私は最も死を怖れる
小心者でありながら、好奇心と共に遊ぶといふ大いなる誘惑を却けることができなかつた。
正二郎は
小心の父に輪をかけた弱虫で、子供の時から同年輩のこの連中にいじめられながら、逃げ隠れするようにしてコソコソと育った男。
作者ジイドは、薦められた席につきながら、同伴の夫人をかへりみて
小心らしい微笑を送つた。
多樣で、斑で、そして
小心な「我」は不幸にも主義によつて一筋道に攝しられてゐない。
いくら口銭を取るのか知らないが、わざと夜を選んでやって来たのも、
小心な俄か闇屋らしかった。
爾来予の明子に対する愛は益烈しきを加へ、念々に彼女を想ひて、殆学を廃するに至りしも、予の
小心なる、遂に一語の予が衷心を吐露す可きものを出さず。
しかもその満足と悔恨とは、まるで陰と日向のやうに、離れられない因縁を背負つて、実はこの四五日以前から、絶えず
小心な彼の気分を掻乱してゐたのである。