やがてむらむらと立
昇る白い煙が、妙に透通って、颯と屋根へ掛る中を、汽車は音もしないように静に動き出す、と漆のごとき真暗な谷底へ、轟と谺する……
小初は腰の左手を上へ挙げて、額に翳している右の腕に添え、眩しくないよう眼庇しを深くして、今更のように文化の燎原に立ち
昇る晩夏の陽炎を見入って、深い溜息をした。
僕は天にも
昇る悦びで、僕は気が変ではないから直ぐ出してくれるようにと熱心に頼んだのである。
ひそかに死骸を抜け出すと、ほのかに明るんだ空の向うへ、まるで水の※や藻の※が音もなく川から立ち
昇るように、うらうらと高く昇ってしまった。
幸、ロオレンス先生は我々の机の間から立
昇る、縷々とした一条の煙に気がつかなかつた。
荘園天下に半して子弟殿上に
昇るもの六十余人、平大納言時忠をして、平門にあらずンば人にして人にあらずと、豪語せしめたるは、平氏が空前の成功也。
そう西山は大きな声で独語しながら、けたたましい音をたてて階子段を
昇るけはいがしたが、またころがり落ちるように二階から降りてきた。