陰惨な奇蹟劇の気分の陳い纏はりから、
朗らかで闊達な新浄瑠璃や芝居に移つて行つたのが、元禄の「人寄せ芸」の特徴であつた。
「ご婦人です」助手の須永が
朗らかさを強いて隠すような調子で答えた。
そこから生れたものは、憂鬱な幻想と
朗らかなエロチシズム、かのフランドルの森と海とを包む香ばしい黄昏の唄である。
そういって感慨に耽っているようであるが心は
朗らかである。
チビで不美人だが
朗らかな気質でお喋り好きでアンマの腕も確かだから旅館なぞもヒイキにしてくれる。
——そんな老人が
朗らかにそう言い捨てたまま峻の脇を歩いて行った。
ところは海の郷、秋高く天
朗らかにして、よろづの象、よろづの物、凛乎として我に迫る。
ヒステリーに陥らずに、瘠我慢の
朗らかさを保ち得るものが幾人あろう。
徳二郎はいつもの
朗らかな声に引きかえ、この夜は小声で歌いながら静かに櫓をこいでいる。