その部屋のカミンに燃えている火も、火かげの映った桃花心木の
椅子も、カミンの上のプラトオン全集も確かに見たことのあるような気がした。
保吉は物理の教官室の
椅子にストオヴの火を眺めていた。
私は
椅子へかけると同時に、我知らず怪しい声を出した。
私はびっくりして、思わず
椅子をずりよせながら、よくよくその花を眺めましたが、確かにそれは今の今まで、テエブル掛の中にあった花模様の一つに違いありません。
が、毛利先生はそう云うと同時に、また哀願するような眼つきをして、ぐるりと教室の中を見廻すと、それぎりで急に
椅子の上へ弾機がはずれたように腰を下した。
ここも紫檀の
椅子机が、清らかに並べてありながら、冷たい埃の臭いがする、——やはり荒廃の気が鋪甎の上に、漂っているとでも言いそうなのです。
それから卓の向うには、これも古びた
椅子が一脚、まるで忘れられたやうに置き捨ててあつた。
年よりも若い第二十三号はまず丁寧に頭を下げ、蒲団のない
椅子を指さすであろう。
「この曲禄を、書斎の
椅子にしたら、おもしろいぜ」——僕は久米にこんなことを言った。