さっきの客も、また、その客を訪ねて行く客も、間違わぬようにと思って、わたしは親切に
玄関と書いてあげた。
日本中探したって、他にこんな家は有りッこないが、このウチには
玄関というものがない。
階下は
玄関とも三間で、中央の八畳に、テーブルを二つ並べ、これが主人押川進の事務を取るところ。
冬の外套の腋の下に折鞄を抱えた重吉は
玄関前の踏み石を歩きながら、こういう彼の神経を怪まない訣には行かなかった。
御婆さんは愛想よくこう言いながら、すぐその
玄関のつきあたりにある、ミスラ君の部屋へ私を案内しました。
受附のような所で、罫紙の帳面に名前を書いて、奥へ通ると、
玄関の次の八畳と六畳と、二間一しょにした、うす暗い座敷には、もう大分、客の数が見えていた。
裏通りの四五軒目の、
玄関とも、露台ともつかないような入口の作りつけられている家の前で、ウォルコフは、ひらりと身がるく馬からおりた。
その中に、傴僂のやうな小使が朝の時間を知らせる鐘を振つて、大急ぎで
玄関を通りすぎた。
それから何故か思ひついたやうに、白い襟飾へ手をやつて見て、又菊の中を忙しく
玄関の方へ下りて行つた。