先月号の「古都」にしても、僕はたゞ、実際在つたことを在りのまゝに書いてゐるのだけれども、それだから
真実だとは僕自身言ふことができぬ。
実は苦しくつて堪らなかつたですけれども、知らないのが
真実だからいへません。
自信があったというよりも、自分の
真実の天分なり境遇なりを、自分でごまかしていくことができたのだ。
(ジアン・クラッセ)しかしおぎんの母親は、前にもちょいと書いた通り、そう云う
真実を知るはずはない。
ただわたしの話の取り柄は、この有王が目のあたりに見た、飾りのない
真実と云う事だけです。
近代では丁度トルストイの他人の
真実を疑つたやうに。
しかし、彼にはどうもそれが
真実だとは思われなかった。