日は落ち果てて対岸の燈が
薄暮の甘い哀愁を含んでまばらにまたたいている。
二十六日、枝幸丸というに乗りて
薄暮岩内港に着きぬ。
一度波を浴びたその乳色の肩先が、
薄暮の光を受けて鱗のやうに輝いてゐました。
ちょうどあの尾生が
薄暮の橋の下で、永久に来ない恋人をいつまでも待ち暮したように。
遂に六月十日の
薄暮、二人は騾車(蒲鉾馬車)に幌を深く垂れて身を潛め交民巷に難を避けた。
あるときは岬の港町へゆく自動車に乗って、わざと
薄暮の峠へ私自身を遺棄された。
顔に当る
薄暮の風、足の下に躍るトロッコの動揺、——良平は殆ど有頂天になった。
松江へ着いた日の
薄暮雨にぬれて光る大橋の擬宝珠を、灰色を帯びた緑の水の上に望みえたなつかしさは事新しくここに書きたてるまでもない。