柿丘秋郎の正体もつきつめて見れば、此の種の人物だったが、割合に小胆者の彼は、幸運にも今までに
襤褸をださずにやってきたのだ。
『戯作』と云へる
襤褸を脱ぎ『文学』といふ冠着けしだけにても其効果の著るしく大なるは知らる。
みんなが食卓のまわりを
襤褸束を並べたように取り巻いて、いざ食事にかかろうとしているところへ、彼女の父親が他所から帰ってきた。
取分け奥州の小百姓はそれが酷い、
襤褸を着て糅飯を食つて、子供ばかり産んで居る。
ずっと離れた石燈籠の裾に、
襤褸のように固まって始終を見ていた、新発意の源空は呟いた。
襤褸を纏ひたる一大學生、大道ひろしと歩るきながら知友の手前を逃げ隱れする段を示す。
むかいあっているのは一人の乞食、ひどい
襤褸を纏っている。
姐さんといふのは一時は日本一とまで唄はれた程聞えた美人で、年は若いが極めて落ちついた何事にも
襤褸を見せないといふ質の女である。
兩側の狹い淺い溝には、
襤褸片や葫蘿蔔の切端などがユラユラした涅泥に沈んで、黝黒い水に毒茸の樣な濁つた泡が、ブク/\浮んで流れた。