すると女は、それを見てすぐ同じ樣に帶の間から回數券を
取出した。
身を起して背向になったが、庖丁を
取出すでもなく、縁台の彼方の三畳ばかりの住居へ戻って、薄い座蒲団の傍に、散ばったように差置いた、煙草の箱と長煙管。
鼠股引氏は早速にその球を受取って、懐紙で土を拭って、
取出した小短冊形の杉板の焼味噌にそれを突掛けて喫べて、余りの半盃を嚥んだ。
重い鞄を実験台の上で開いて、中から
取出したのは小型のラジオのような青色の器械だった。
それから彼の手が忙しくポケットをさぐって、紙巻煙草とライターを
取出した。
「マア、非常に綺麗な腕環が入って居る」と、夜光珠や真珠の鏤めてある、一個の光輝燦爛たる黄金の腕環を
取出した。
戸口に立ったまま、由三はしばらく内の気配をうかがっていたが、こっそり土間に這い込んで、片方の下駄を
取出した。
先生に侍して、雪に埋れた北海道を横断する自分は宛然腰巾着の如く、痩せて小さい躯を其横に据ゑて、衣嚢から新聞を
取出した。