ただ、
救いを求めるような霧笛だけが、ときどき低く重く、潮鳴の絶え間絶え間に聞えていた。
ところが……ところがこの、身寄りもない貧弱な書生ッぽの被告に、突然
救いの神が、それも素晴らしい別嬪の
救いの神が出て来たんですよ……
青年は一途に
救いを求めるような、混乱した表情を見せなから、乾からびた言葉をぐっと呑みこんだ。
藁蒲団の上の若紳士は、袋探偵の質問をみなまで聞かずに、
救いをもとめた。
きのう僕の読みかけたのは信乃、現八、小文吾などの荘助を
救いに出かけるところだった。
この時人が精力を搾って忘れようと勉めた二つの道は、まざまざと眼前に現われて、
救いの道はただこの二つぞと、悪夢のごとく強く重く人の胸を圧するのである。
むしろ人生における、最も深刻なる、最も
救いのない不幸の象徴として理解しているのである。
心は氷のように冷たく、うち沈み、いたみ、——どんなに想像力を刺激しても、壮美なものとはなしえない
救いがたいもの淋しい思いでいっぱいだった。
譲吉が高等商業の予科に在学中、故郷に居る父が破産して危く廃学しようとした時、
救い上げて呉れたのは、譲吉の同窓の友人であった近藤の父たる近藤氏であった。