しかるに娘がその手をきつく握り返したから、軽犯罪法のお世話に相成るべき不審の挙動が天下晴れての快挙と相成り、福は禍の門と云うが如くに禍根を
残すこととなった。
私がもしロマンに専心し、それによつて生活を保証されうる立場にあつたら、私はもつとマシな作品を
残すこともでき、又、生長することもできた筈であつたと思ふ。
ミレンを
残すぐらゐなら別れなければ良からうものを、つまり、彼、彼女らは悪妻とか悪亭主といふ世の一般の通念や型をまもつて、個性的な省察を忘れたのだ。
但しこれ亦独造底の作品を
残すことと同意義にあらず。
(名を後世に
残さんとする者は、後世に生命あるであらう芸術家に何でもかまはず喧嘩を売ることです………)
一音を誤れば、音楽の演奏は完全でない如く、一語を聞き漏らすことによつて、舞台のイメージは一つの空虚を
残すのである。
鈴木三枝子は、昼の仕事をなるべく
残すようにして置いて、居残りの時間をつくるようにした。
先生今「鏡花全集」十五巻を編し、巨霊神斧の痕を
残さんとするに当り我等知を先生に辱うするもの敢て※劣の才を以て参丁校対の事に従ふ。
が、あれは余りまづすぎるので、人に買はれると、醜を後世に
残すから、わざと誰も買はないやうな、高い値段づけをつけたんだらうと推察した。