しかるに娘がその手をきつく握り返したから、軽犯罪法のお世話に相成るべき不審の挙動が天下晴れての快挙と相成り、福は禍の門と云うが如くに禍根を
残すこととなった。
私がもしロマンに専心し、それによつて生活を保証されうる立場にあつたら、私はもつとマシな作品を
残すこともでき、又、生長することもできた筈であつたと思ふ。
ミレンを
残すぐらゐなら別れなければ良からうものを、つまり、彼、彼女らは悪妻とか悪亭主といふ世の一般の通念や型をまもつて、個性的な省察を忘れたのだ。
但しこれ亦独造底の作品を
残すことと同意義にあらず。
我々が子孫に
残す文化的遺産が非常時以外に通用しないやうなもの、国民生活を低く貧しくするやうなものであつては由々しいことであります。
ともすれば目前の事態に狂奔しがちな男性の傍にあつて、われわれの子孫に
残すべき心の糧を築いておくことは、これまた女性の尊い権利である。
一音を誤れば、音楽の演奏は完全でない如く、一語を聞き漏らすことによつて、舞台のイメージは一つの空虚を
残すのである。
鈴木三枝子は、昼の仕事をなるべく
残すようにして置いて、居残りの時間をつくるようにした。
が、あれは余りまづすぎるので、人に買はれると、醜を後世に
残すから、わざと誰も買はないやうな、高い値段づけをつけたんだらうと推察した。