恰も其心を遠き日と遠き
行とに奪はれた如く答へるのである。
安政の大コロリ、文久の大麻疹、この二つが江戸末期における流
行病の両大関で、実に江戸じゅうの人間をおびえさせました。
七八月の炎熱はかうして平原の到るところの街々に激しい流
行病を仲介し、日ごとに夕焼の赤い反照を浴びせかけるのである。
亜米利加人が帰つてしまふと、婆さんは次の間の戸口へ
行つて、
豊田君は「ぢやようござんす」と云つて、悠然と向うへ
行つてしまつた。
医者は彼の先に立ちながら、廊下伝ひに或部屋へ
行つた。
それから何故か思ひついたやうに、白い襟飾へ手をやつて見て、又菊の中を忙しく玄関の方へ下りて
行つた。
しかも僕の前後にゐるのは大磯かどこかへ遠足に
行つたらしい小学校の女生徒ばかりだつた。
その代り、一しよにその岐阜提灯を買ひに
行つた、奥さんの事が、心に浮んで来る。