三番片
脚乗らんか、三番片
脚乗らんかと呶鳴っている男は、今しがた厩舎の者らしい風体の男が三番の馬券を買って行ったのを見たのだ。
が、釘付けにされたものは、彼の
脚ばかりではなかった。
殊に
脚は、——やはり銀鼠の靴下に踵の高い靴をはいた
脚は鹿の
脚のようにすらりとしている。
のみならずそれはいつまで経っても、
脚一つ動かす気色さえなかった。
頭だけが興奮していて、
脚にはほとんど感覚も力も無いような気がした。
併し、私の生まれた部落は、北方の丘陵に近く、南方の山
脚を洗う荒雄の水音を、微かに聞く地点なのである。
その時車の梶棒の間から後ろ向きに箱に倚りかかっているらしい子供の
脚を見たように思った。
黄色く光る障子を背景にして、黒子のように黒く点ぜられたその蝿は、六本の
脚の微細な動きかたまでも清逸の眼に射しこんだ。
大きな汚い風呂敷包と一緒に、章魚のように頭ばかり大きい赤坊をおぶった彼れの妻は、少し跛
脚をひきながら三、四間も離れてその跡からとぼとぼとついて行った。