彼の男は、立番の巡査の姿を
認めると足早やにスタスタと通りすぎようとした。
按ずるに無条件の美人を
認めるのは近代人の面目に関るらしい。
同時に又百般の人事を統べる「偶然」の存在も
認めるものである。
ゆくりなく目を注ぎたるかの二階の一間に、辰弥はまたあるものを
認めぬ。
余は二作を読み了りける後、奇しくも実想相分るゝ二大家の作に同致の跡瞭然見る可き者あるを
認めぬ。
さらばとて大師の文學とか、藝術とかに關しては、已に前年來先輩諸博士の講演が發表されて居つて、この方面でも餘り得意でない私が、態※蛇足を添へる必要を
認めぬ。
婚姻の如きも、新婦が廟見を終へざる間は、成立したものと
認めぬ(1)。
が、精神的には、殆、これと云ふ程の進歩も
認める事が出来ない。
その後教師都に帰りてより幾年の月日経ち、ある冬の夜、夜更けて一時を過ぎしに独り小机に向かい手紙
認めぬ。
庭半分程這入って行くと、お松は母と二人で糸をかえしていて、自分達を
認めると直ぐ「あれまア坊さんが」と云って駈け降りて来た。