今日でも北豊島に池袋村という村は存在しているが、当時は曾てそんな噂を
聞かぬ。
そのまゝ佇んで、しめやかな松の初花の樹脂臭い匂ひを吸ひ入れながら、門外のいさかひを
聞くとも
聞かぬともなく
聞く。
天皇は之を御覧じて、異朝は知らず我が国に、かかる俊馬の在るを
聞かぬ、其の吉凶如何と尋ねられた。
その癖、ちょいとした事には、器用な性質で、流行唄と云うようなものは、一度
聞くと、すぐに節を覚えてしまう。
若しや此の女は何か護謨ででも拵え屈伸自在な仮面を被って居るのでは無かろうか、併し其の様な巧みな仮面は未だ発明されたと云う事を
聞かぬ。
「半左衛門座では、弥生狂言も『傾城浅間ヶ嶽』を打ち通すそうじゃが、かような例は、玉村千之丞河内通いの狂言に、百五十日打ち続けて以来、絶えて
聞かぬ事じゃ。
これを
聞くと、太郎と言われた男は、日をよけた黄紙の扇の下で、あざけるように、口をゆがめた。
ところで、元来このわしの記憶といふやつが、何ともはやお話にならぬ代物で、聞いたも
聞かぬもとんとひとつでな。
古來幾多の建築家や、思想家や、學者や、藝術家や、各方面の人がこの問題に就て考へた樣であるが、未だ曾て具體的徹底的な定説が確立されたことを
聞かぬ。