」と杖を一つ
とんと支くと、後の雁が前になって、改札口を早々と出る。
齢は五十を超えたるなるべけれど矍鑠としてほ
とんと伏波将軍の気概あり、これより千島に行かんとなり。
それから涅槃大学へ現れるまで、
とんと見た人がなかったのである。
紫の大納言は、二寸の百足に飛び退いたが、見たこともない幽霊は
とんと怖れぬ人だったから、まだ出会わない盗賊には、怯える心がすくなかった。
それが髪をまん中から割って、忘れな草の簪をさして、白いエプロンをかけて、自働ピアノの前に立っている所は、
とんと竹久夢二君の画中の人物が抜け出したようだ。
そのばあやの目も、近ごろは
とんと鳥目になりましてね。
なれど「ろおれんぞ」は唯、美しい顔を赤らめて、「娘は私に心を寄せましたげでござれど、私は文を貰うたばかり、
とんと口を利いた事もござらぬ」と申す。
うつゝに漕げば、うつゝに聞こえて、柳の土手に、
とんと當るや鼓の調、鼓草の、鼓の調。