然しながらどこの風景がどうであつたといふことになると
皆目手掛かりのない市や町がある。
かくして怪しげな三人連れがそれからの三日間、不良少女をあれからこれへと戸別訪問したのだが、
皆目手掛りがない。
そこで直ぐ人を水戸へ急行させて、儀右衛門の所在を探ねさせたけれど、
皆目その消息を知ることができなかった。
日本人の名誉に拘るとはいかなる事件が起きたのか、私には
皆目呑こめない。
栗栖按吉という男が、この時まで、何処で何をしていたかということになると、これが
皆目分らない。
その人物の「描かれてない生活」は、
皆目、舞台の上に現はれてゐないのである。
京一は、第一、醸造場のいろいろな器具の名前を
皆目知らなかった。
ところが、彼自身でやる段になると、そういうことは
皆目よくしない。
一つ/\音についていつてみるけれど、それがどういふ樣に鳴くのか
皆目解らない。
——家賃を払う家が少なくて、医者の払いが
皆目集まらないというこの町では、肺病は陰忍な戦いである。