然しとにかく弟達はそれの或程度迄には折れ合つて、私對弟等の或る一定した關係の
朧ろな輪廓が出來てゐた。
二十五年前には文学士春の屋
朧の名が重きをなしていても、世間は驚異の目を※って怪しんだゝけで少しも文学を解していなかった。
白衣で、袴は、白とも、緋ともいうが、夜の花の
朧と思え。
紅の括紐、襷か何ぞ、間に合わせに、ト風入れに掲げたのが、横に流れて、地が縮緬の媚かしく、
朧に颯と紅梅の友染を捌いたような。
朧ろ
朧ろの月の光も屋根に遮られてそこまでは届かず、婆裟として暗いその辺りを淡紅色にほのめかせて何やら老人は持っているらしい。
「光と闇と交錯していちじるき明暗や色彩を生むとき、誰か好みてその薄明の中を徨彷はざるものありや」と、若々しき心に於いて「
朧」を註するものである。
鍬かたげし農夫の影の、橋とともに
朧ろにこれに映つる、かの舟、音もなくこれを掻き乱しゆく、見る間に、舟は葦がくれ去るなり。
藤の花の紫は、眞晝の色香
朧にして、白日、夢に見ゆる麗人の面影あり。