扇を腰に、がたがたと格子を開けると、
汚い二階家の、上も下も、がらんとして、ジイと、ただ、招魂社辺の蝉の声が遠く沁込む、明放しの三間ばかり。
その前に最前の支那人が
汚いシャツ一枚になって腕まくりをして、巾着の口を開いて中をのぞきながら、
と云う中に、乞食はその一粒をペロリと飲み込んでしまいました……と思うと、今までの乞食の
汚い姿は見る間に変って、一人の立派な旅行商人の姿になりました。
そうするとこれを聞いたこなたの
汚い衣服の少年は、その眼鼻立の悪く無い割には無愛想で薄淋しい顔に、いささか冷笑うような笑を現わした。
行き暮れて辻堂に寝たときとか、
汚い宿に幾日も降り籠められていたときなどには、彼はつくづく敵討が嫌になった。
しばらくしてお安が涙でかたのついた
汚い顔をして、見知らない都会風の女の人と一緒に帰ってきた。
青い
汚い顔をして、何日いたのか身体中プーンといやなにおいをさせているのです。
汚い臓物で張り切っていた腹は紙撚のように痩せ細っている。
別段怪我もしなかったが、身体中
汚い泥染れになって叱られたことがある。
大きな
汚い風呂敷包と一緒に、章魚のように頭ばかり大きい赤坊をおぶった彼れの妻は、少し跛脚をひきながら三、四間も離れてその跡からとぼとぼとついて行った。