リアリズムの批評的精神は、單に
空虚放慢なる幻影を拂拭して、苦澁にして苛烈なる物質的現實を暴露することに止まるべきであつたらうか。
だから、此国土の上の生活が始つても、まだ万葉人までは、生の
空虚を叫ばなかつた。
駄洒落を聞いてしらぬ顔をしたり眉をひそめたりする人間の内面生活は案外に
空虚なものである。
講堂入口の、生徒用長椅子の並んだ蔭に、
空虚の棺桶は下ろされ、黒い蔽布が取りさられた。
彼は毎日それが消えてしまうまでの時間を
空虚な心で窓を展いていた。
俺は反対に不安になり、憂鬱になり、
空虚な気持になった。
のみならず、詩作その事に対する漠然たる
空虚の感が、私が心をその一処に集注することを妨げた。
くだらぬ台本を手にした場合、俳優に注文をつける自分の声はいちいち
空虚な響きをもって自分の耳にはねかえってくる。
事實網は其儘宇宙の實體を成すものであるから、至るところ
空虚たるを許さない。
