が、今田代君が
見せてくれたのは、その麻利耶観音の中でも、博物館の陳列室や世間普通の蒐収家のキャビネットにあるようなものではない。
そこで今夜は前以て、魔術を使って
見せてくれるように、手紙で頼んで置いてから、当時ミスラ君の住んでいた、寂しい大森の町はずれまで、人力車を急がせて来たのです。
空が曇っているから、海は煮切らない緑青色を、どこまでも拡げているが、それと灰色の雲との一つになる所が、窓枠の円形を、さっきから色々な弦に、切って
見せている。
「なるべく、はで向きで、それもごく上等を
見せてもらおうかな」
甲は書籍を拈繰って故意と何か捜している風を
見せていたが、
翁はこの主人とひととおり、初対面の挨拶をすませると、早速名高い黄一峯を
見せていただきたいと言いだしました。
廊下へ出て、黄いろい葉を垂らした庭の樹木を見下してゐると、豊田実君が来て、「ちよいとノオトを
見せてくれ給へ」と云つた。
これは顔でも同じ事で、下顎骨の張つた頬のあたりや、稍大きい口の周囲に、旺盛な動物的精力が、恐ろしい閃きを
見せてゐる事は、殆壮年の昔と変りがない。
長男も不思議に井月にだけは、酒を飲ませたり字を書かせたり、機嫌の好い顔を
見せてゐた。
すると一日一人の老叟が何所からともなく訪ねて來て祕藏の石を
見せて呉れろといふ、イヤその石は最早他人に奪られて了つて久しい以前から無いと謝絶つた。