それはトムさんが近頃色々空想をする事を
覚えたからです。
渡左衛門尉と云う名は、今度の事に就いて知ったのだが、男にしては柔しすぎる、色の白い顔を見
覚えたのは、いつの事だかわからない。
われ、その時、宗門の戒法を説き、かつ厳に警めけるは、「その声こそ、一定悪魔の所為とは
覚えたれ。
というから、お児ちゃん、おやとりがどうしたかと聞くと、お児ちゃんはおやとりっち言葉をこのごろ
覚えたからそういうのだと梅子が答える。
長く濃かった髪は灰色に変って来て、染めるに手数は掛かったが、よく手入していて、その額へ垂下って来るやつを掻上げる度に、若い時と同じような快感を
覚えた。
けれども西山たちの足音が玄関の方に遠ざかろうとすると、清逸は浅い物足らなさを
覚えた。
予も又胸に一種の淋しみを包みつつある此際、転た旅情の心細さを彼が為に増すを
覚えた。
そのもの静かな森の路をもの静かにゆきちがった、若い、いや幼い巫女の後ろ姿はどんなにか私にめずらしく
覚えたろう。