然し近代的な心理解剖や観察法の分りよい正確な教科書、入門書としては、この人の書物に
越すものは少いと思へる。
我孫子から利根川をひとつ
越すと、こゝはもう茨城県で、上野から五十六分しかかゝらぬのだが、取手といふ町がある。
この狭小にして、天然資源も豊かではない国土と、八千万を
越す頭の数を見るだけで、明白なのである。
「たとえどのような伎倆があろうと、世間には名人達人がある、上
越す者がどれほどでもある、増長慢になってはいけないのう」
とにかく、そのままにして置けば、死線を
越すまで体力と角とで搏ち合うのであるから素晴らしく豪儀である。
さうして育つて行くうちにも仲好しの母親同志は
越す先々の家を成たけ近所同志にえらび、お互ひの生活を接近させてゐました。
鮒は晩秋水の深みに落ち込んで腐れ藻の下や泥底に集団をなして寒い一冬を
越すのであるが、寒が明けて陽ざしが明るくなってくると、集団を解いて静かに動きはじめる。
お蘭は、月を
越すと、相思の仲の、渋川宿の旅舎、布施屋の長男、進一のもとへ輿入ることになっていた。
どうせ本式の盗棒なら垣根だって御門だって
越すから木戸なんか何にもなりゃア仕ないからね」