重い本を棚から下しますのも、精霊の名を連ねた大きな画
巻を其隅から擡げますのも、其間は純一な敬虔な心になつて居りますのも、亦皆私の勤でございます。
おまけに、どう云ふ訳だか、細引で、手も足もぐる/\
巻にされてゐる。
天王寺の別当、道命阿闍梨は、ひとりそっと床をぬけ出すと、経机の前へにじりよって、その上に乗っている法華経八の
巻を灯の下に繰りひろげた。
底本:「筑摩全集類聚版芥川龍之介全集第五
巻」筑摩書房
それも寂しすぎると云ふだけなら、何処か古い画
巻じみた、上品な所がある筈だが、寂しい癖に薄情らしい、妙に落着いた所があるのは、どう考へても頼もしくない。
が、幸いその二冊のうちには、あの「わが袖の記」のはいっている五
巻がある。
少なくとも僕の知恵は今よりも進んでいたかわりに、僕の心はヲーズヲース一
巻より高遠にして清新なる詩想を受用しうることができなかっただろうと信ずる。