そうしてその上には
怪しげな楊柳観音の軸が、煤けた錦襴の表装の中に朦朧と墨色を弁じていた。
——そんな
怪しげな考えがどうしても念頭を離れないのです。
秘密な有力者が強い臂を揮つて、この
怪しげな形をした黒い岩を、天から海へ投げ落して、その岩の中に潜んでゐた性命を、その時殺してしまつたのである。
けれども猫とも虎ともつかない、何か
怪しげな動物になれば、古来野師の儲けたのはかう云ふ動物恩恵である。
沢山ならこれで切り上げるが、世間には自分の如く
怪しげな書画を玩んで無名の天才に敬意を払ふの士が存外多くはないかと思ふ。
すると一頁と読まない内に、ダイナマイトの臭ひよりも、今見た寒山拾得の
怪しげな姿が懐しくなつた。
したがその頃
怪しげな噂が伝はつたと申すは、「さんた・るちや」から遠からぬ町方の傘張の娘が、「ろおれんぞ」と親しうすると云ふ事ぢや。
鏡のわくはわずかに焦げ、丸太の端よりは
怪しげなる音して湯気を吹けり。
と楓が追いつくと、さすがに風流男の気取りを、佐助はいち早く取り戻して、
怪しげな七五調まじりに、
隣の蒲団では、中学二年生の修一が亀の子のやうに首をひつこめて、こつそり煙草を吸ひながらトウシヤ刷りの
怪しげな本に読み耽り、楢雄の方は見向きもしなかつた。