そのあとには唯凍て切った道に彼等のどちらかが
捨てて行った「ゴルデン・バット」の吸い殻が一本、かすかに青い一すじの煙を細ぼそと立てているばかりだった。
戸が今西の後にしまった後、陳は灰皿に葉巻を
捨てて、机の上の封書を取上げた。
しかも生憎女には乳がまるでなかったものですから、いよいよ東京を立ち退こうと云う晩、夫婦は信行寺の門前へ、泣く泣くその赤子を
捨てて行きました。
洛中がその始末であるから、羅生門の修理などは、元より誰も
捨てて顧る者がなかった。
巴※※は当初南蛮寺に住した天主教徒であったが、その後何かの事情から、DS 如来を
捨てて仏門に帰依する事になった。
容貌の醜い若者はこの新しい遊戯を見ると、すぐに弓矢を砂の上に
捨てて、身軽く河の流れを躍り越えた。
恰も南下漢人を征せる、拓跋魏の健児等が、其北狄の心情を
捨てて、悠々たる中原の春光に酔へるが如く、彼等も亦富の快楽に沈酔したり。
それから卓の向うには、これも古びた椅子が一脚、まるで忘れられたやうに置き
捨ててあつた。
鋳物師 しかし妻子を
捨ててまでも、仏門に入らうとなすつたのは、近頃健気な御志だ。