私は踊の好きな者の心には、邪のないのを
よく知つて居ります。
彼は髯から手を放すと、やや反り身になって、鼻の高い、眼光の鋭い顔を時々ちらりと眺めながら、勢い
よく手真似をして、しゃべり出した。
その明いたのに気がついた時、無意識にあの別荘番を予期していた私は、折
よく先刻書いて置いた端書の投函を頼もうと思って、何気なくその方を一瞥した。
私は時々立つて障子を開けて、向ひ側の陽の
よくあたる明るい部屋部屋を上から下まで、羨しさうに眺めやつた。
さうではないと仰有つても、私には
よくわかつて居ります。
だからその時間も、機械的にペンを動かして、帝劇の筋書の英訳のやうなものを根気
よく筆記した。
見ると彼の傍には、血色のいい、中背の細銀杏が、止め桶を前に控へながら、濡れ手拭を肩へかけて、元気
よく笑つてゐる。
見ると彼の傍には、血色のいい、中背の細銀杏が、止め桶を前に控えながら、濡れ手拭を肩へかけて、元気
よく笑っている。
私がはじめて芝居を見たのは、団十郎が斎藤内蔵之助をやった時だそうですが、これは
よく覚えていません。