が、昼間舟の在り処を見定めて、夜行って見ると、舟は何人かが乗り
去ったとみえて影もなく、激しい怒涛が暗い岸の砂を噛んでいるだけだった。
そして、過ぎ
去った謀反の企てを心のうちで後悔しはじめる。
そう云う何分かが過ぎ
去った後、女は仕事を続けながら、突然、しかし覚束なさそうに、こう誰かへ声をかけた。
家族は主人の次兵衛が四十一歳、女房のお琴が三十七歳、娘のお袖が十八歳で、隠居夫婦は二十年前に相前後して世を
去った。
くずれた雪はその証跡を堙滅せんとするかのように次第々々に消え失せて、いたずらに泥水となって流れ
去った。
喜右衛門をここに控えさせて、中間はどこへか立ち
去った。
受付はそれを受取り急いで二階に上って
去ったが間もなく降りて来て
生来のやさしい魂はすぐに私の体から飛び
去ったようであった。
もうパオロの胸に触れると思った瞬間は来て過ぎ
去ったが、不思議にもその胸には触れないでクララの体は抵抗のない空間に傾き倒れて行った。