震える声で役者はおそるおそる寺の財政の現状について述懐し、何としても即刻融通をつけるという訳には行かぬ
有りさまを詳さに語り、数日の猶予を乞うたのである。
どうも分からん分からん、不思議な事もあれば
有るものだと、二人は暫時顔を見合すばかり。
面会日は木曜ときめて門の扉に木の札は掛けたが、ほんたうにこちらの仕事の為に考へてくれさうな人はさして
有りさうにないのでしみじみ困つて了ふ。
「すると——何か私の講演に質疑でもあると仰
有るのですか。
」と、念を押すように仰
有ると、若殿様は静に盤面を御眺めになったまま、
将門が検非違使の佐たらんことを求めたといふことも、神皇正統記の記事からで、それは当時の武人としては
有りさうな望である。
「あの男はどうなったかしら」との噂、よく
有ることで、四五人集って以前の話が出ると、消えて去くなった者の身の上に、ツイ話が移るものである。
老叟は笑つて『さう言はるゝには何か證據でも有のかね、貴君の物といふ歴とした證據が
有るなら承はり度いものですなア』
「いまの、あの婦人が抱いて居た嬰兒ですが、鯉か、鼈ででも
有りさうでならないんですがね。